今回は、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき、あなたが賃貸アパート、マンションからの退去時に支払う修理代金の算出方法をご説明します。
修理代金を算出する上で外せないキーワードがあります。それは「経年劣化」と「通常損耗」です。
またしても難しそうな言葉が出てきましたね。
目次
経年劣化、通常損耗の意味は?
経年劣化の意味を辞書で調べてみると「時が経つにつれて性能や機能が低下すること。」とのこと。要するに、時間がたてば、性能や機能は低下していきますからね。
貴方も私ももう若くない。昔のようには動けない。悲しいけどそんな感じでしょうか。
一方の通常損耗はそのままでは意味が出てきませんでしたので、「通常」と「損耗」に分けて調べてみます。まず「通常」とは「特別でなく、普通の状態であること。世間一般にみられる状態であること」、まあ、普通ということでしょうか。
では「損耗」とは「使って減ること。また、減らすこと。消耗。」
う~ん。理解するのが難しいですね。まあ、使っていたら減ることだそうです。そのまんまですが。
従い、「通常損耗」とは「普通の状態で、使っていたら減ること」に意味としてはなるのかな?
そんな感想はともかく、この「経年劣化」と「通常損耗」が賃貸アパートやマンションから退去する際のあなたの修理代金の負担額に大きくかかわってきますので、覚えておきたい言葉ですね。
これらのキーワードがどのようにかかわってくるかと言いますと、賃貸アパートもマンションも人間が作ったものである以上、年数がたてば、「経年劣化」を起こします。
普通に生活していても「通常損耗」が発生してしまいます。
原状回復のガイドラインを知らない大家さんだと、この「経年劣化」「通常損耗」した壁紙(クロス)、床材、水回りの設備(水栓器具)なども、原状回復の名のもとに、入居した当時の状態に戻せ!と言ってくるわけですね。
しかし、原状回復のガイドラインでは「経年劣化」「通常損耗」は大家さんの負担と言っているわけです。
「経年劣化」「通常損耗」は大家さんの負担
これは民法606条1項でも書かれているんですね。
「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。」
賃貸人とは大家さんの事です。この内容をわかりやすくまとめると、「賃貸アパートを使用させたり、賃貸アパートで稼いだりするための修理をする義務は大家さんにあります。」と、まあこんな感じでしょうか。
大家さんに修理義務があるのですね。
しかし、大家さんからすると、賃貸アパートを貸していたら入居者が汚したりしたんだから、入居者に修理代金の費用を負担させることの何が悪いんだ!となるわけです。
まあ、大家さんの言っていることも一理ありますが。
でも、すべてを元通りに、入居前の状態に戻せというのはちょっと強引じゃないですかね。
そこで、ガイドラインでは「経年劣化」「通常損耗」は大家さんの負担となっているのです。
壁紙であるクロスも、床材も、キッチン等の水回り(水栓器具)も時間が経てばボロボロになっていきます。普通に使っていてもどこか壊れたりします。
そういった事を「経年劣化」「通常損耗」と言うんですね。
この「経年劣化」「通常損耗」によるボロくなってしまった部分は、入居者は家賃として支払ってきていると考えられ、入居者が退去による明け渡し時に敷金や保証金からひかれる費用ではないとガイドラインでは考えられているんですね。
入居者が退去時に負担する修理代金を算出するうえで「経年劣化」「通常損耗」は外せないキーワードなのが、なんとなくご理解いただけましたか。
次回は、修理代金を算出する方法の続きをお話しましょう。