「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき、賃貸アパートを退去する際のクロス(壁紙)の負担金額、負担割合のお話をしたいと思います。
賃貸アパートや賃貸マンションの壁、天井には大体クロス(壁紙)が使用されています。
クロス(壁紙)の種類も、紙であったり、ビニールであったり様々です。
賃貸住宅で使われているクロスのほとんどが、ビニールクロスではないでしょうか。
このビニールクロスが、意外に破れやすいし、汚れやすい。
退去の時には思わぬ場所が汚れているものです。冷蔵庫を動かしたらクロス(壁紙)が真っ黒になっていたり、近くでよく見ると、細かい破れた傷がいっぱいあったり、隣の部屋では、子供が落書きをしていたり。
あなたのお部屋も無事ではないはず。
目次
クロス(壁紙)の修理負担は?
そんな破れたり、汚れているクロス(壁紙)を退去時にはどれぐらい負担しなければならないのでしょうか。
室内全部貼り替えなんて不動産業者から言われたら、いったいいくらになるのかしら・・・
そんな不安のまま、引っ越しなんてできない。
でも、ご安心ください。
クロス(壁紙)などの負担費用の計算方法として「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では「経過年数」を取り入れるようにしています。
「経過年数」とは簡単に解説すると「新品から何年経っているか」になります。
壁紙(クロス)の場合だと下の表のようになります。
新品が100%でそこから6年経つと1円になるように直線を引いた図です。
この表のパーセント(%)とは退去時の負担割合を示したもので、新築時には当然100%ですが、1年、2年と経つうちに、負担割合は減っていき、最終的には6年で1円となります。
この表に基づき、退去者であるあなたのクロス(クロス)壁紙の負担割合や負担金額が決まってきます。
縦が負担割合、横が経過年数となっております。
当然、新築時(0年)の負担割合は100%で、6年目で1円です。(0円ではありません。)
この表を理解していただくために、問題を出したいと思います。
ここで問題です。クロス(壁紙)の負担金額はいくらでしょうか?
問1.あなたが新築から3年住み、引っ越すことになりました。しかし、入居している間に壁紙をうっかり破いてしまいました。その部分を新品にする場合は10万円かかります。さて、あなたが負担しなければならない金額はいくらでしょうか?上の図を基に、よく考えてみてください。
答えは、5万円です。
図からもわかるように、新築から3年後の入居者の負担割合は50%となっています。従い、10万円の50%との5万円となるわけです。
但し、問1で気をつけなければならないのが、「新築から」の言葉です。「入居から」ではないのです。それをご理解いただくために、もう1つ問題を出します。
問2.あなたが新築後3年間入居の決まらなかったお部屋に入居し、1年間住んで引っ越すことになりました。しかし、しかし、入居している間に壁紙をうっかり破いてしまいました。その部分を新品にする場合は10万円かかります。さて、あなたが負担しなければならない金額はいくらでしょうか?
答えは、約35000円です。
入居した際に、既に壁紙(クロス)の価値は50%になっています。1年後には約35%に壁紙(クロス)の価値は下がっています。なので、入居者の負担割合は35000円となるのです。基準となるのは入居からなのです。
さらに問題です。
問3.あなたが新築後3年間入居の決まらなかったお部屋に入居し、1年間住んで引っ越すことになりました。しかし、入居の決まらなかった3年間に壁紙(クロス)が汚くなっていたため、あなたが入居する1週間前に大家さんが壁紙をすべて新品に張り替えました。そんな事とはつゆ知らず、入居している間にあなたは壁紙をうっかり破いてしまいました。その部分を新品にする場合は10万円かかります。さて、あなたが負担しなければならない金額はいくらでしょうか?
答えは5万円です。
問3では入居時に新品に壁紙(クロス)が貼り替わっています。新品ということは、価値が100%に戻ったということです。
ここまで、くどいくらい問題を出したのは、入居時の状態がどうであったかを知ってほしかったからです。入居時に新品なのか、それとも既に2~3年経っているのか、それによって引っ越しで退去する際にレ敷金や保証金から引かれてしまう修理代金が変わってきますので、注意が必要なのです。
次回は、実際にクロス(壁紙)の金額の算出方法と、どれくらいのクロス(壁紙)の破損が保証金、敷金から修理代金として差し引かれてしまうのかをお話ししたいと思います。